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どのCDよりも優れている?
クラッセの営業責任者デーヴ・ナウバーは、「自分のiPhoneとCP-800を組み合わせた場合、どのCDプレーヤーよりもサウンドが良い」と言いますが、そこがCP-800で最も論議を呼ぶところです。フロントパネルにあるUSBはiDeviceからのデジタルストリームを抽出しますが、そこが争点となっています。HFCがCP-800(そしてその他のクラッセシリーズ)を設計したスコットランド人アラン・クラークと会ったとき 、彼はそれほど強気ではありませんでしたが、「USB入力はパフォーマンスで(それ自体かなり意見の分かれる)S/PDIFを上回ることができる」と主張しました。
アランは「市販されている他のどれよりも優れている」と語るUSB受信装置を開発しました。彼は、真摯なUSB DACメーカーの支持を増やしているアシンクロナス方式は、手ごろな変換器で使われているシンクロナス方式よりも優れていることを認めながらも、そこにさらにひと工夫を加えました。その工夫こそ、CP-800をコンピュータオーディオリンクで世界有数のものにすると言われているものです。クラークは、通常のアシンクロナスUSBインターフェースを「最適ではない」と言っています。なぜなら、コンピュータ音源では避けられないグラウンドノイズが受信装置のクロックとDACを汚染するからです。
これに対する解決策として、彼は、プリアンプ内のオーディオクロックなどすべてを分離する手段として、USBマイクロコントローラー/受信装置とDACの間にFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を加えました。USB受信装置には独自のクロックがありますが、チップの中のノイズのレベルが非常に高いため、完全に分離することは不可能です。FPGAは、入力信号から得られるデータのみを再生し、CP-800内の高精度クロックを用いてジッターを最小限に抑えます。
また、このプリアンプは独自の電源(PSU)を搭載しています。PSUが別のボックスに入っているのではなく内蔵されていることも旧機よりも価格が安い一因となっています。しかし、違いはこれだけではありません。CP-800には、非常に高い周波数で動作するスイッチモードPSUがあります。スイッチモードPSUは、従来のリニアサプライよりもノイズが少ないと言われています。CP-800は(通常の場合)効率も良く、欧州連合(EU)の待機消費電力目標もクリアしています。
また、クラッセでは、電源にかかる負荷を一定に保つ力率補正(PFC)機能を採用していますので、電気の変動に対処する必要がなく、システム内の他のコンポーネントにも良い影響があるはずです。通常、電源を変調する(変化させる)のはパワーアンプと考えがちですが、電源要求(所要電源)がパワーアンプほど大きくないプリアンプでも、同様にこの問題を考慮するとは意外でした。
これほど複雑な製品には珍しく、プリント基板(PCB)の設計はチェンという女性が担当しています。クラークいわく、世界で最も我慢強いエレクトロニクス・デザイナーです。なにしろ、彼女はプリント基板(PCB)の設計をすべて手作業で行っているのです。手作業で行うのは、自動ルーティングでは多層基板の各コンポーネントの作用を勘案すれば本来得られるはずの結果が得られないからです。こうした事情からCP-800のマザーボードの見た目は思ったほど整然とはしていません。信号経路は、回路のノイズが多い部分から遠ざける必要がありますので、見た目はむしろ有機的です。
「ルームバランスに効果がある、いつまでも古臭くならないプリアンプを探しているのなら、まさにうってつけ」
パラメトリックイコライザーは、レコーディングスタジオで見かけるものです。通常よりもかなり正確に音質調整を行う方法で、高音または低音の全体よりはむしろ狭い周波数帯の調整ができます。
70年代、家庭用のアナログのパラメトリックイコライザーはかなり大型でしたが、関係するエレクトロニクスは必然的に信号の邪魔になります。そのため、デジタル時代以前は質が非常に高くなければならなかったのです。
現在、スタジオではソフトウェアベースのイコライザー(EQ)が使われていますが、CP-800にもそれに類したものが搭載されています。低音ブームを引き起こしている周波数を選び、ブームレベルとQを調整して問題を抑制することができます。
その他、部屋の特定の場所にサックアウトがある場合、これらのフィルターを使って希望する範囲全体の信号をブーストすることができます。賢い機能ではあるのですが、デバイスのレゾリューションに影響を与えずに実装するのは簡単ではありません。しかし、システムに無視できない深刻な音調の異常がある場合には、この種のイコライザー(EQ)が大変役に立つことでしょう。
融通の利く相棒
CP-800の構成は見事です。クラッセは、製品設計、そして他機種を上回る仕上げを実現する秘策を心得ています。重厚で艶がありボルトをたくさん使った製品を作る会社は多くありますが、ハイエンド製品を扱っていてこれだけのレベルの製品を世に送り出すことのできる会社はまずありません。CP-800は、入力端子も合計15と多く、バランスアナログとアンバランスアナログの入力・出力端子、一般的なデジタル入力端子、北米のメーカー好みの12ボルトトリガー出力などがそろっています。RJ45イーサネットのコンセントまであり、今後ソフトウェアのアップデートができるようになったらプリアンプが直接コンテンツをストリーミングできるようになります。このような3つの出力端子は2チャンネルプリアンプには珍しいものですが、1チャンネルあたり2台のパワーアンプに加えてサブウーファーを1台どころか3台までを使うことができるのです。
入力と出力のすべてを構成するオプションがあるため、ひとつの入力をユニティゲインにして、接続したサブを使い、残りはメインの2チャンネルを使うことができます。入力には名前を付けて一定量のゲインやバランス設定の両方、またはいずれか一方を割り当てることができます。これほど構成が可能で自由自在な2チャンネルプリアンプが果たして他にあるでしょうか。このような機能は明らかにマルチチャンネルプロセッサーのものです。
iPhoneやiPadはもちろんのことNanoやClassic、Touch など人気デバイスの大半のバージョンで使えます。この情報はiPodユーザーには朗報でしょう。
電話というよりもノートPC
オリジナルのディスクをS/PDIFを経由してそこそこのCDプレーヤーで再生するよりも、慎重にコピーしたCDをコンピュータで再生する方がサウンドが優れています。正直なところその差はかなりのものです。ファイルの方が細部まで忠実ではるかに興味深い音楽を再生します。例えば、ピアノソロのライブの場合、楽器が名器であるため、そして音響のスケールと特質が忠実に再現されているため、強烈な説得力があり、臨場感にあふれています。
S/PDIF入力端子はUSB入力のサウンドの良さを引き立てるために存在しているのでしょうか?それはおそらく見当違いです。特に、基準となるDAC/プリアンプのUSB入力(Resolution AudioのCantata)と比較すると、サウンドがほぼフラットです。クラークはUSB入力で確実に素晴らしい仕事を成し遂げ、このジャンル全体の水準を上げました。
アナログ信号のプリアンプのCP-800 には隠れた秘密があります。その秘密の扉を開けて最大の可能性を明らかにしましょう。秘密とは「アナログバイパス」チックボックスです。簡単そうに聞こえますが、捜し出して、各アナログ入力と照合する必要があります。そうしないと、DSP(デジタル信号処理)が邪魔をしてパフォーマンスが低下します。この仕分けが行われていると、アナログ信号は一貫性のある調和された形で再生され、奥行きと幅を持った素晴らしいイメージが広がります。また、低音の伸びとアーティキュレーションも素晴らしく、速さはベストとは言えないものの、なかなかの深みがありしっかりしています。プレゼンテーションは、ミッドバンドに重点を置くものよりもスムーズかつ明快で、真空管プリアンプのように透明感の高い印象を与えますが、ソリッドステートデバイスのスタイルにありがちなドライでもないし、細かいグレインもありません。
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